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とらドラ! #25(終) とらドラ!

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アニメ『とらドラ!』の第25話(最終話)「とらドラ!」を見ました。

あらすじ

竜児の負傷を大河からの電話で聞いた泰子は実家へ駆け付けるが、しかし竜児は全くの無事。
大河の電話は竜児の考えた嘘だった、泰子を呼び、祖父母(泰子の両親)と向き合わせるための。

その晩。
竜児は誰もが祝福するほど幸せになろうと大河と誓い合い、真似事ながらささやかな儀式を執り行った。

翌日、三人は泰子の実家から高須家に戻った。
竜児が夕食を作る間、大河は着替えるため自身の部屋へ戻った。
部屋には誰も、いる筈の母の姿もなかった。
残された留守番電話のメッセージから母親の思いと帰った事を知った大河は夜空を見上げる。
そして、ある決意を胸に部屋を後にする。

翌朝、竜児は一人で登校する。
そして教室に来た担任・ゆりから大河が転校した事が告げられる。
ゆりの話が終わると竜児は教室を後にし、実乃梨・亜美・北村が追いかけた。

追いついた実乃梨は竜児を平手打ちすると大河を置いて戻った事を非難する。
そんな実乃梨に竜児は思いの内を吐露する。
大河が一人何の相談もなく消えた事に憤りすら感じている事。
それでも大河が手紙に残した望みが待つ事だったので、竜児は待つ事を決めた。

時が経ち、卒業式。
下級生たちの間には伝説となった噂が飛び交っていた。
文化祭を完全優勝した2-Cと、体育祭と文化祭を盛り上げた生徒会長・北村が卒業後に渡米する事。
そして、幸せの手乗りタイガー。
その存在は伝説としても高須竜児の彼女としても下級生たちを驚かせていた。

卒業式後、校庭から教室を見上げた竜児は窓辺に見慣れた髪を見とめ駆け出した。

竜児が辿り着いた教室には誰の姿もなかった。
しかし竜児は迷う事なく教室に入ると、掃除道具のロッカーを開ける。
そこには逢坂大河がいた。
すぐに見つかった事を悔しがる大河に竜児は告白する。
「大河、好きだ」
竜児の告白に大河は頭突きで返した。

最終話の感想

余分な部分を殺ぎ落として焦点を主役二人に絞った作り。
だから竜児が卒業後の進路をどう選択したのかも明らかにならない。

卒業式後の能登と木原がほんのちょっとだけ描かれたのなんて奇跡。
亜美が転校していない事は予想通り過ぎて何の驚きもない。

竜児を平手打ちした実乃梨の肩に亜美が手をやるシーンは二人の距離が近づいた事を表していて非常に良かった。
その亜美は賢く、今まで通りの器用さを見せるが、自分に対しては貫くように不器用。
倉庫での実乃梨の登場の仕方を考えるとそういう星の巡りに生まれたような気もするが、単に亜美と実乃梨の巡りが悪いだけか。

ゆりちゃんは良い先生ぶりを披露したんだけど、今ひとつ決まらない。
そういう星の(以下略

泰子の過去、竜児の父については予想通りで何ら驚く事はない。

大河の母は大河の母らしくて面白かった。

作画は高須家での二人きりの夜がマックスかと思いきや、卒業式後の二人きりのロッカー前だった。
これまで通りに派手なアクションシーンでないシーンでも良く動いた。

竜児は後輩にまで有名だったようだが、卒業までに悪いイメージは少しくらい払拭できたのだろうか。

制服で駆け付けた大河には一抹の不安が残る。
もしかして自分の卒業式を抜け出してきたんだろうか。
たしか卒業式って途中で抜け出したりすると卒業ができない、はず。

そういう騒がしい感じが想像できるのもこの作品らしい気がする。

全話通しての感想

タイトルの通り、結末は初めから見えていた。
しかしそれを決してがっかりさせる事なく、安易に終わらせなかったのは作者の腕前。
第23話「進むべく道」と第24話「告白」の教室のシーンは一番好きだ。
あのシーンのシリアスな雰囲気はどこか『Noel』(©FlyingShine)を思わせる。

もしかしたら竹宮ゆゆこはシリアスに向かう傾向があるのだろうか。
『Noel』のシナリオのどこまでが竹宮ゆゆこのさじ加減なのかはわからないが、シリアスなシーンの雰囲気は似ていると感じた。

ちなみに『Noel』は面白かったが、友人には理解されなかった。
シナリオも好きだったがセンテンスの短さはテンポを少し悪く感じさせた。
『とらドラ!』はどうなんだろうか。
『Noel』のサイトではイベントで配布された文庫版『Noel introduction/ENTER NOEL』のデータがダウンロードできますので興味がある方は読み比べ?

閑話休題。

個人的にどうしても、竜児が実乃梨を好きになった、実乃梨が竜児を好きになった理由が知りたかった。
明確なきっかけがなかったとしても、いつから想っていたのかぐらいは知りたかった。

クリスマスの春田には衝撃を受けた。

一番好きなキャラクタは川嶋亜美。
性格に裏表がある事より、自身の幸せを逃がしていく、ゆりちゃんとは違った意味で不幸が似合う感じかな。

終始、作画のクオリティは高かった。
派手なシーンより、静かなシーンの方が動いていた気がする。
人物の手元とか細かい仕草がきちんと描かれていたからかもしれない。
でも一番心を奪われたのは第1話、ロッカーの中から大河が転がり出てくるシーン。
思わず声を出して笑ってしまった。

アニメ放送中に原作が続刊中の作品でここまでクオリティできた作品はすぐには思い浮かばない。
『とらドラ!』は妙な奇抜さもなく、然したる意外性のないスタンダードなラブコメだった。
そんな作品がここまで面白かった事は、最も意外で、最も奇抜な事だったかもしれない。

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